ALS の発見から今日まで約 150 年の歴史がありますが、まだ疾患を治癒させる治療としての「キュア」(Cure)は発見されていません。しかし限定的ですが病気の経過を遅くする薬剤治療、栄養療法、人工呼吸管理等の、生命を維持する治療の「キュア」の方法は発展してきています。一方障害を抱えても生活の質(QOL)を維持・向上させ、身体的のみならず精神的・社会的な意味も含めた健康を保つことを目指す「ケア」(Care)は、非常に進展してきています。
「キュア」には、主に医師、看護師、リハビリ担当者をはじめとする医療者が関わり、「ケア」には、医療者のみでなく介護職・保健師・医療相談等の福祉関係者等さまざまな多職種が関わります。ALS の治療内容は多岐にわたるため、多職種チームによる支援(multidisciplinary team support)が必要といわれます。
この章では ALS と診断されてまもなくの患者・家族が、今後の経過の中で、どのような点を知っておくべきかをまず記載します。一読しただけでは理解するのが困難だと思いますので、新たな問題が発生した時に再読し、他の章に書かれた詳しい内容を参照していただくとともに、周囲の多職種チーム、あるいは同病者等に、納得いくまでアドバイスを求めることが必要です。
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