ALSの症状と治療(2-5)初期に必要な5つのポイント:ピアサポートの意義

(5)早期から受けるピアサポートの意義について

ALS患者は、病気の進行に伴って、胃ろうや人工呼吸器の選択等の生命に直結する意思決定を医療者から求められます。これらは、インフォームド・コンセントの形で、主に医師から説明・同意を求められることになります。患者自身で、これまでの人生観に基づいた判断をすることになりますが、病気自体が患者・家族にとって初めての経験であり、各種選択をした場合の具体的なイメージについて、医療者の説明だけでは理解し尽くせないことも多いと思います。進行する嚥下障害や呼吸障害によって、性急に意思決定を迫られる場合も多いのですが、患者・家族が知りたいのは、これまで同病者がどのように考え、またどのような療養生活を送ってきたかという情報だと思います。現状では、意思決定をするまで一度も同病者と情報交換したことがなく、医療者からの情報提供のみで判断してきた患者・家族が大部分ではないかと思います。

東京都立神経病院では、病院主催で患者・家族同士が交流できる患者家族会を定期的に開催しており、ピアサポート(同じような課題に直面する人同士がたがいに支えあうこと)になっています。参加当初は、進行した患者の状態に自分を重ねて落胆することもあるかもしれませんが、医療者の精神的なサポートを受けながら交流を続けていくと、自分だけがなぜALSという病気になってしまったかという初期の絶望感、怒り、孤独の感情が癒やされます。また、胃ろうのメリット、人工呼吸器を使っての生活状況等を知ることで、具体的なイメージを持つことができ、意思決定の際の助けになるでしょう。このような出会いの場は、各都道府県にある日本ALS協会から情報を得ることができるでしょう。

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