ALSの症状と治療(3-3)進行期の医療・介護・福祉:呼吸運動系麻痺はどの程度か

(3) 呼吸運動系麻痺に対する医療介護ケア

呼吸運動系が麻痺すると、ハーハーといったいかにも息苦しそうな状態をイメージしがちですが、ALSはゆっくり進行しますので、初期からそのような症状が起きることはあまりありません。むしろ声が小さくなる、何となく元気がない、食事量が減るといった、呼吸と一見関係のない症状で異変に気付くことが多いといわれています。また呼吸筋麻痺は、昼間よりも夜間、睡眠中に少しずつ進行していくといわれています。誰でも寝ているときは呼吸が浅く、不規則になることがありますが、ALSの患者はより症状が現れやすいといえます。そして、夜間の呼吸障害が次第に昼間にも引き続いて出現するようになります。

呼吸運動系麻痺の初期の頃は、訪問診療・訪問看護で、どの程度の呼吸状態にあるかを、医師や訪問看護師に評価してもらうことになります。簡単な方法としては、パルスオキシメーターを使う方法です。パルスオキシメーターは、一般的には90%以下の値になると酸素が不足している状態と考えます。また訪問リハビリによる呼吸運動系のリハビリ、カフアシスト等の使用による排痰法の指導、吸引器・ネブライザー等の貸与も、適宜導入することになります。

近年カフアシストという器械が普及してきました(図10)。

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