治験について

治験とは新しい薬の承認を得るために、効果や副作用を確認する試験のことです。まったく新しい薬の場合もありますが、他の病気の薬を ALS にも保険適応させるための試験もあります。

新しい薬の開発は、動物や細胞を使った試験のあと、ヒトで第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相試験と進められます。この第Ⅰ~Ⅲ相試験のことを治験といいます。

第Ⅰ相試験は、薬の有効性ではなく、安全性を確かめるための試験で、通常は健常人を対象に行われます。第Ⅱ、第Ⅲ相試験は、新薬の効果ではなく「気のせい」「飲んでも飲まなくても」「たまたま」などで改善した効果を排除するために、新薬が投与される実薬群と、効果のない偽薬(プラセボ)が投与されるプラセボ群に分けて行われる二重盲検試験という方法で行われます。

薬が「効くかどうか調べる」ものなので、治験をやって効果がないことがわかり開発が中止されることもあります。

1.治験参加のメリット・デメリット

ALS 患者にとって治験へ参加することのメリットは、薬の開発に貢献できる、実薬群に割り付けられた場合に新しい薬の治療効果を得られる可能性がある、主治医とは別の医師にも診察してもらう機会を得る、などです。治験終了後に希望すれば一定期間、新薬を投与される場合もあります。

デメリットは、プラセボ群に割り付けられた場合や、実薬群に割り付けられてもその薬には効果がないという結果が出た場合に、本来治験に参加していなければ投薬されていたはずの薬の治療効果を得られない期間ができてしまうことです。

治験は、夢の治療や、画期的な新薬治療が受けられる機会ではありません。また治験は、一度参加を決めた後でも、いつでも自由な意思で参加をやめることができます。

ALS の治験は発症後間もない患者を対象に行われます。これは、薬の効果判定の指標を症状の進行の速さにしているためです。治験への参加は厳格な基準が設けられています。薬の投与が始まる前に一定の観察機関が設けられており、患者が参加を希望してもかなえられない場合も多くあります。

日本 ALS 協会では、患者募集など治験について情報発信をしています。治験に興味のある方は協会のウェブサイト(http://alsjapan.org/category/octor_interview/)をご覧ください。なお、治験への参加を検討したいときは必ず主治医に相談してください。

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