筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)は、運動神経系が徐々に障害される進行性の神経疾患です。主に50歳から70歳代で発症し、年間新規患者数は10万人に1~2.5人とされています。ALSでは、脳や脊髄内の運動神経が障害されることで、手足、のど、舌、さらには呼吸に必要な筋肉が次第に痩せ衰え、力が低下し動かしにくくなります。運動神経の障害の程度や進行速度は個々の患者によって異なりますが、一般的に知覚神経系、視力、聴力、内臓機能などは保たれます。
初期症状としては、手足の動きの困難やろれつの障害が見られ、発症後2~5年で呼吸筋麻痺や嚥下筋麻痺が進行します。かつては発症後数年で死亡することが多かったものの、現在では呼吸補助装置や経管栄養、胃ろうの技術の発展により、長期的な療養が可能となっています。しかし、呼吸補助を必要とする患者では会話による意思疎通が難しくなるため、残された運動機能を活用した様々な代替コミュニケーション手段が開発されています。
ALSは日本において指定難病(特定疾患)に指定されており、公費による医療費の一部または全額の助成を受けることが可能です。また、ALSの原因はまだ完全には解明されておらず、根治療法は確立されていませんが、原因追及のための調査研究や対症療法の進歩が著しく、より良い療養ケアの推進が積極的に行われています。これにより、ALS患者の生活の質向上と長期的な療養支援が進められています。
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