嚥下障害(4)誤嚥防止術

歯科医師であり人工呼吸器を装着したALS 患者でもある私が、歯科医師の視点と当事者としての体験から語らせていただきます。

三保 浩一郎 広島県支部支部長・歯科医師・人工呼吸器装着

ALS患者にとって最も恐ろしい合併症が誤嚥性肺炎で、事実、多くのALS仲間が誤嚥性肺炎で亡くなっています。私自身、8 年前に誤嚥性肺炎を経験し、その恐怖体験から、誤嚥を防ぐ種々の方法に取り組んできました。一方で、誤嚥そのものを外科的な手術によって防ぐ手段があります。私の周囲のALS患者もかなりの確率で手術済みです。と言うよりもアクティブな患者になればなるほど手術済みの確率が高いように感じます。患者視点で誤嚥防止術についてお話します。

嚥下障害診療ガイドラインでは誤嚥防止術の適応を以下のように定めています。
① 誤嚥による嚥下性肺炎の反復がある。またはその危険性が高い
② 嚥下機能の回復が期待できない
③ 構音機能や発声機能がすでに高度に障害されている
④ 発声機能の喪失に納得している
その他には、頭頸部腫瘍の手術により、難治性の誤嚥が予測される場合(腫瘍の手術と同時に実施)にも適応とされています。

誤嚥防止術は、術式によって分類されており、代表的術式を列挙すると、声門上喉頭閉鎖術、仮声帯閉鎖術、声門閉鎖術、声門下閉鎖術、喉頭気管分離術、気管食道吻合術、喉頭摘出術があります。

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