近年の研究では、適度な運動は筋力維持に有効であるとされ、特に発症初期など軽度なALS 患者にはその有効性が示されています。以前はALS 患者の運動は筋力低下進行のおそれがあると考えられ、運動は積極的にはやらないという認識が広まっており、過剰な運動を懸念していました。
ALS で避けなければいけないことは、廃用性症候群(使わないことによる機能低下)と過用症候群(使いすぎることによる筋力低下)です。患者一人ひとりに合った適切な運動内容や負荷量を設定することがなにより重要で、それには、理学療法士(PT)らによる安全性と効果の判定評価が必要になります。栄養状態や筋緊張の状態、重力に逆らって手足や体幹を動かせるか等を見ることにより、運動療法の内容を決めていきます。
ALS 患者は拘こうしゅく縮(関節が動かしにくくなった状態)を起こしにくいといわれます。しかし、安静時でも緊張が強い筋がある場合、関節周囲の組織が固くなることによって関節を動かす範囲が狭くなり、筋収縮もおき、何気ない動作一つに労力を要し、疲労しやすいという悪循環に陥ります。これにより呼吸や嚥下、循環機能も低下するため、有効な力を使って筋力を維持していくようにします。マイルドな筋力運動、継続的なストレッチも有効です。
運動の目安としては、重力に逆らって無理なく20 回連続してできる運動、負荷量です。過剰な負荷を避けるために、運動終了後30 分経過しても疲労が残る、痛みがある場合は運動量を見直しましょう。大切な事は毎日継続的に実施することです。理学療法士(PT)と相談しながら進めていきましょう。
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